夢のなかの現 「15.一人にしたから」におけるトキオの葛藤について 補足
※ この記事は15.一人にしたからをお読みになった後を前提に書いておりますのでご注意ください。
トキオが今まで一度も「好き」と言わなかった原因が判明しました。
トキオが「好き」と言った事で、
・初恋の人を亡くした
・両親までも亡くした
はたから見ると、くだらないことのように思えます。
不安ならそのことを朝霧に説明すればいいだろうと思う気持ちもわかります。
ただ、実際にトキオの立場に立つとそれすらも恐ろしくなってしまうのです。
トキオとは違って告白をしたわけではないのですが、
作者である私自身が初恋の人が幼少の頃に亡くなってしまったことがあります。
当時6歳の自分には忘れられない出来事でした。
自分とは関係のないところで起きた事故でしたが、二十数年経った今でも辛く思います。
しかしそれだけなら、自分を追い詰めることはなかったでしょう。
重ねてトキオはその十数年後に両親までも亡くしてしまいました。
トキオからしてみれば、
「好き」だと言ったから相手が死んでしまったのだと誰かに言ったとしても、
きっと一笑に伏されてしまうだろうと思います。
「そんなことあるわけがない」という言葉がかけられるかもしれませんが、
それはトキオにとっての救いにはなれないのです。
トキオの中で不安が大きくなって、誰とも付き合うこともなく高校時代を過ごしてきました。
そんな時に恋をした。
幕間のラストで和田がトキオに宣戦布告をしました。
告白をするか悩んでいたトキオは、それをきっかけに想いを告げることにしました。
その際も、トキオは「好き」と言い掛けますが言えませんでした。
和田の影から朝霧を守りたい
一緒に過ごすことでどんどん好きになっていく
でも、大事に思えば思うほど「好き」という言葉が重たくのしかかっていたのでした。
ここで視点を朝霧に換えてみましょう。
朝霧は実家のある地方の農村で男尊女卑な扱いを受けて育って来ました。
高校を卒業したらすぐに地元の豪農の中年男に嫁ぐように親から言われたことで、
朝霧は家出をすることを決意しました。
(前編7-3「そして、館へ」にてそのくだりに触れています)
それまでにも、なんらかの性的ないやがらせがあったと思われます。
朝霧は、まともな恋愛を知らずに過ごして来たといいうわけです。
なので、「好き」という言葉に強い憧れがあったのです。
しかし、その言葉を朝霧に激しくぶつけてきたのがよりによって和田でした。
常に女性が周囲にいる和田からの言葉なので最初は本気にしていなかった朝霧ですが、
幕間2「和田の告白」で和田が真剣だということがわかります。
朝霧にだけは紳士的な態度を取っていたため、少しずつ和田へ心を開きかけていたところでしたが、
幕間6「和田の本性」で好意が完全なる嫌悪に入れ替わってしまいました。
トキオが告白をする前、朝霧はトキオが巴に「(朝霧のことを)好きではない」と言っているのを立ち聞きしてしまうシーンがあります。(2.恋の始まりとトキオの時計)
本当は誤解だったその出来事は、朝霧を深く傷つけてしまいました。
優しくされても笑顔を向けられても、「好き」だということを否定されたことが朝霧にとっての不安でした。
そのことが原因で、朝霧は他のどんな言葉よりも「好き」という二文字だけを欲していたのですが、
それこそがトキオを苦しめる言葉であった…というすれ違いがあんな形で一種の結末を迎えてしまったのでした。
どちらも相手を気遣いすぎてしまったのがよくなかったわけですが、
それぞれにそれぞれの背景があってこうなってしまったということを説明したく、この記事を書きました。
言い訳だと思われてしまうかもしれませんが、
少しだけでもわかってもらえれば嬉しいです。
トキオが今まで一度も「好き」と言わなかった原因が判明しました。
トキオが「好き」と言った事で、
・初恋の人を亡くした
・両親までも亡くした
はたから見ると、くだらないことのように思えます。
不安ならそのことを朝霧に説明すればいいだろうと思う気持ちもわかります。
ただ、実際にトキオの立場に立つとそれすらも恐ろしくなってしまうのです。
トキオとは違って告白をしたわけではないのですが、
作者である私自身が初恋の人が幼少の頃に亡くなってしまったことがあります。
当時6歳の自分には忘れられない出来事でした。
自分とは関係のないところで起きた事故でしたが、二十数年経った今でも辛く思います。
しかしそれだけなら、自分を追い詰めることはなかったでしょう。
重ねてトキオはその十数年後に両親までも亡くしてしまいました。
トキオからしてみれば、
「好き」だと言ったから相手が死んでしまったのだと誰かに言ったとしても、
きっと一笑に伏されてしまうだろうと思います。
「そんなことあるわけがない」という言葉がかけられるかもしれませんが、
それはトキオにとっての救いにはなれないのです。
トキオの中で不安が大きくなって、誰とも付き合うこともなく高校時代を過ごしてきました。
そんな時に恋をした。
幕間のラストで和田がトキオに宣戦布告をしました。
告白をするか悩んでいたトキオは、それをきっかけに想いを告げることにしました。
その際も、トキオは「好き」と言い掛けますが言えませんでした。
和田の影から朝霧を守りたい
一緒に過ごすことでどんどん好きになっていく
でも、大事に思えば思うほど「好き」という言葉が重たくのしかかっていたのでした。
ここで視点を朝霧に換えてみましょう。
朝霧は実家のある地方の農村で男尊女卑な扱いを受けて育って来ました。
高校を卒業したらすぐに地元の豪農の中年男に嫁ぐように親から言われたことで、
朝霧は家出をすることを決意しました。
(前編7-3「そして、館へ」にてそのくだりに触れています)
それまでにも、なんらかの性的ないやがらせがあったと思われます。
朝霧は、まともな恋愛を知らずに過ごして来たといいうわけです。
なので、「好き」という言葉に強い憧れがあったのです。
しかし、その言葉を朝霧に激しくぶつけてきたのがよりによって和田でした。
常に女性が周囲にいる和田からの言葉なので最初は本気にしていなかった朝霧ですが、
幕間2「和田の告白」で和田が真剣だということがわかります。
朝霧にだけは紳士的な態度を取っていたため、少しずつ和田へ心を開きかけていたところでしたが、
幕間6「和田の本性」で好意が完全なる嫌悪に入れ替わってしまいました。
トキオが告白をする前、朝霧はトキオが巴に「(朝霧のことを)好きではない」と言っているのを立ち聞きしてしまうシーンがあります。(2.恋の始まりとトキオの時計)
本当は誤解だったその出来事は、朝霧を深く傷つけてしまいました。
優しくされても笑顔を向けられても、「好き」だということを否定されたことが朝霧にとっての不安でした。
そのことが原因で、朝霧は他のどんな言葉よりも「好き」という二文字だけを欲していたのですが、
それこそがトキオを苦しめる言葉であった…というすれ違いがあんな形で一種の結末を迎えてしまったのでした。
どちらも相手を気遣いすぎてしまったのがよくなかったわけですが、
それぞれにそれぞれの背景があってこうなってしまったということを説明したく、この記事を書きました。
言い訳だと思われてしまうかもしれませんが、
少しだけでもわかってもらえれば嬉しいです。
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